- 宅建士は何のために必要?
- 宅建士の価値を知りたい
このような疑問を解決します。
宅建士の役割を知ることで、宅建士がどのくらい価値があるものなのかわかるようになります。
私は不動産会社で働いた経験があり、宅建士の資格も持っています。
そんな私が解説をします。
宅建士はお客さんの敵?宅建士の役割とは




宅建士の役割① お客さんの保護
宅建士の役割は『宅地・建物の買い手となるお客さんを保護する』ことです。
例えば
買い手(お客さん)が宅地を購入(または賃借)を検討しているとします。
宅地を買う時はたいてい不動産会社から購入することになります。
そんなとき、売り手である不動産会社は専門知識や経験がある一方、買い手は知識も経験もなく不利です。
このままでは買い手側は不当な契約を結ばされてしまうかもしれません。
ここで宅建士の出番です。
不動産会社は、お客さんに判断を誤らないように宅地・建物に関する重要な内容を説明する「重要事項の説明」が義務付けられています。
この「重要事項の説明」は国家資格である宅建士にだけしか認められていません。
このように知識・経験で不利になってしまうお客さんを保護するために宅建士は存在します。
ポイント
国はお客さんを保護するために「重要事項の説明」を不動産会社に義務付けている。
その「重要事項の説明」が許可されているのは宅建士だけ。
宅建士の役割② 3つの独占業務
宅建士の独占業務
1.重要事項の説明
2.重要事項の説明書への記名・押印
3.契約書への記名・押印
宅建業を行うのに必須事項であり、これらの行為は宅建士だけにしか許されていません。
これを業務独占資格といいます。それぞれを細かく見ていきましょう。
独占業務1 重要事項の説明
「重要事項の説明」はお客さんに判断を誤らせないようにする説明をいいます。
説明書の内容は「物件の法的な制限」や「ライフラインの整備状況」など判断材料に必要な事項が書かれています。
この説明は宅建士が行うものですが、お客さんの承諾があっても省略はできず、必ず説明しなければなりません。
もし説明しなかった場合、宅建業者には罰則が科せられてしまいます。
それくらい重要な説明です。
独占業務2 重要事項の説明書への記名・押印
説明のほかに「重要事項の説明書への記名・押印」も宅建士が行わなければなりません。
「責任の所在を明らかにする」サインです。
お客さんとの間で「説明した」「説明していない」というくい違いを防ぐために必要な行為です。
独占業務3 契約書への記名・押印
契約書とは、物件を購入(または賃貸)を決めたお客さんに対してトラブルを防ぐための書類です。
契約書の内容は、「物件の引渡し時期」や「損害の負担」といったトラブルになりそうな内容をあらかじめ知らせる書類です。
重要事項の説明とは違って、お客さんに対して書類を発行するだけでよく、説明する必要はありません。
しかし「契約書への記名・押印」は宅建士が行わなければならない行為です。
宅建士の役割③ 宅建士が一定割合必要
宅建業をするには宅建士が一定割合いなければ営業することができません。
どういうことかと言うと
⇒宅建業を営む時は一つの事務所において、従業員5人に1人以上の割合で設置が法律で義務付けられています。
例えば、宅建業を営業する会社で
5人までの事務所なら宅建士は最低1人
6人いる事務所なら宅建士は最低2人
宅建士の設置義務があります。
このように事務所や人数が増えればその割合に応じて宅建士が必要になるということです。
とても重要な役割を担っていることがわかっていただけると思います。
※宅建業とは…宅地建物取引業のことで、宅地や建物の取引を業として行うこと。
簡潔に言えば不動産取引の大部分を占めるものです。
宅建士の価値




宅建士の価値はこの3つから説明できます。
- 国
- 会社
- 個人
宅建士を必要とするそれぞれの立場から見ていきましょう。
宅建士の価値① 国からみた宅建士の重要性
宅建士は国家資格としての価値があります。
その価値を知るには国の立場から考えてみるとわかりやすくなります。
国は国民を守るために存在しており、個人にとって不動産はとても大きな買い物です。
ですが、不動産は金額が大きいだけでなく、素人には良し悪しの判断がしにくい商品でもあります。
そのため不動産のプロから個人であるお客さんを守る仕組みを作りました。
それが宅建士という国家資格の始まりです。
国からみた宅建士の重要性
- お客さんの保護
- 独占業務を有する国家資格
- 資格としての質を落とさないこと
お客さんの保護という観点から宅建士は生まれているので、どの要素も欠かせないものです。
国民を守る法律である以上、知識がしっかりと備わっていなければ宅建士になることはできません。
あいまいな知識では国民を守ることができないからです。
「資格としての質を落とさない」という点では、試験が相対評価になっていることがポイントです。
相対評価とは試験の合格点があらかじめ決まっているのではなく、試験の後に合格点を決める評価方法です。
合格点を上げれば上げるほど合格者を少なくすることができるため、資格の価値を保つことにつながります。
近年の傾向では合格率は15%程度であり、毎年3万人前後の合格者が排出されています。
このように宅建士は宅地・建物のプロとして価値ある存在に保つ仕組みが作られています。
ポイント
宅建士は独占業務があり、合格率が一定割合で限られているからこそ価値が保たれている。
宅建士の価値② 会社側からみた宅建士の需要
宅建業を営業する会社は宅建士を必要としています。
それは営業するのに欠かせない存在だからです。
この記事の前半でも触れたように宅建業をするためには法律でこの2つが定められています。
①宅建士にしか許されていない独占業務がある
②宅建士を一定割合設置する義務がある
この内容があるため、最低でも宅建士は1人必要になり、大規模になればなるほど必要な宅建士の数も増えていきます。
年に1度しかない試験のため宅建士の数も限られていますから、報酬も多く出さなければ宅建士を集めることができません。
業界経験のない宅建士だったとしても資格手当として月5千円~3万円の給与が上乗せされます。
業界経験のある宅建士は即戦力として貴重ですから転職市場ではもっと価値のある存在になることは間違いありません。
求人サイトを見てみると、宅建士の需要は途切れることがないくらい多いので、持っていればよほどのことがない限り職が見つからないことはなさそうです。
宅建士の価値② 個人からみた宅建士の可能性
宅建士はとても万能な資格です。
国と会社側からみた宅建士の需要のとおり、宅建士の価値がある程度担保されていることがわかります。
個人からみた宅建士の使い勝手としてはこちらのとおり
- 会社員として働く
- 副業として使う
- 他の資格との相乗効果を狙う
- 独立して起業する
宅建士になったあと、会社員として働くのが一般的ではありますが、その他の可能性についても見てきましょう。
宅建士で副業
宅建士は副業としての可能性もあります。
会社で宅建士の設置が一定数間に合っていたとしても、お客さんが予想以上に多いなどの理由で「重要事項の説明」が間に合わない場合が存在します。
- 遠方に出ていて対応できない
- お客さんのアポが重なってしまう
- 予定していた宅建士が急遽出られない
宅建士をギリギリの人数でやりくりしている場合はこのようなケースが起こります。
そんなとき、会社側は専任の宅建士(事務所に常駐する人)以外にも宅建士を確保しておけると安心です。
普段の業務は間に合っているけど、ワンポイントとして活動してほしいといった副業形態です。
このように副業としても活躍できるのが宅建士です。
※念のため注意書きをしておきますが「名義貸し」といって常駐しないのに専任の宅建士として登録するなど、宅建業法に違反する行為はNGです。
副業することについては問題ないので、宅建業法を守って活動するようにしましょう。
他の資格との相乗効果を狙う
宅建士はいろんな資格と相乗効果が狙える資格です。
不動産系の資格は宅建士以外にも多くあります。
例えば
- 不動産鑑定士
- マンション管理士
- 管理業務主任者 など
不動産の専門性を高めることができるだけじゃなく、ダブルライセンスが取りやすいメリットもあります。
不動産系の資格を中心に攻めることで、出題される試験範囲が重なることが多いからです。
省エネで勉強できて、なおかつ専門性が高まるので関連ある資格を取っていくのはおすすめのやり方です。
ここで紹介したように、不動産系の資格で固めるのも良いですが、業界に特化しなくても相性の良い組み合わせは存在します。
ダブルライセンスを持って活躍している人で、私はこのような人たちを知っています。
FP×宅建士
社労士×宅建士
行政書士×宅建士
不動産の販売をする人や管理会社として働く人たちが、このような掛け合わせで働いています。
不動産業は相談に乗ることや、手続きをすることが多い業界です。就きたい仕事に合わせて資格を掛け合わせると相乗効果を発揮しやすくなります。
宅建士と相性の良い組み合わせはこの他にもありますが、大きな分類で見るとこのようになります。
宅建士と相性が良い組み合わせ
金融系×宅建士
法律系×宅建士
先ほど紹介したFP、社労士、行政書士もここに当てはまりますね。
ダブルライセンスを取得することで働き方の幅を利かせることができるので
- 会社でのキャリアアップする者
- 個人で活動して収入アップする者
このように待遇が良くなったりや収入アップが見込めます。
良いことはそれだけではなく、ダブルライセンス取得者じたい多くないので
- 嫌な仕事を断る
- 好きな時に働く
といったように多少のわがままが許されたり、自由な働き方ができるのも魅力です。
これを見ている読者さんも宅建士取得を見越して、もう一つ資格を手にしたいという意欲が増したのではないでしょうか。

資格がたくさんあると…
ユン
私は宅建士×簿記×FPを取得しています。
真面目に仕事をしている中で多少のわがままも許されています。
いつでも転職できるという心の余裕があるのでラクな気持ちで仕事ができています。
これも資格が多いメリットだと思います。
宅建士で起業する
不動産業は経験を積んで独立するケースが多くあります。
不動産は人がいるかぎり需要がたえず存在することから市場規模が多いことも要因です。
私の周りにも不動産業界で働いた後に起業する人を何人もいて
- 賃貸を専門に扱う
- 賃貸+売買のどちらも扱う
- 不動産投資
このように事業内容はさまざまです。
中には宅建士を自分で取得しないで、宅建士を持っている従業員を雇うことで事業を成立させている人もいます。
ですが、自身で取ってしまった方が事業としての活動しやすいことは言うまでもありません。
できる限り宅建士を自力で取得して、不動産業界で経験を積めば起業の可能性も開けます。
まとめ:宅建士になりたい方へ


今回は宅建士の役割と価値についてお話しました。
完結にまとめると
- 宅建士の役割
⇒お客さんの保護 - 宅建士の価値
⇒国家資格として独占業務があり、合格率が一定割合で限られている。そのため市場からの需要が絶えず存在する。
宅建士は使い方次第で自分の価値を何倍にも高めることができる資格です。
- 収入をアップ
- 待遇を良くする
- やりたい仕事に就く
こんな未来にすることができます!
宅建士は本業、副業どちらで使うこともできる動きやすい資格です。
うまく活用して今後の仕事に役立ててください。
宅建士について疑問
悩み猫