簿記2級の合格率は約20%!合格率の推移と難易度を徹底解説

この記事は、「日商簿記」について書かれています。

この記事でわかること

  • 合格率の推移がわかる
  • 難易度はどれくらい?
  • 勉強方法、アドバイスが聞きたい

最近の簿記2級は、合格率が不安定な状態が続いています。
そこで、過去10回分の合格率をグラフにして分析しました。
最近の傾向を知ることで、対策が立てやすくなります。
ぜひ、一発合格を目指してください!

簿記2級の合格率の推移

過去10回分(約3年分)の試験データはこのとおりです。

【日商簿記2級の合格率の推移】
申込者 受験者 合格者 合格率
158回
2021年6月
28,572 22,711 5,440 24.0%
157回
2021年2月
45,173 35,898 3,091 8.6%
156回
2020年11月
51,727 39,830 7,255 18.2%
155回
2020年6月
新型コロナウイルス感染症の影響により中止
154回
2020年2月
63,981 46,939 13,409 28.6%
153回
2019年11月
62,206 48,744 13,195 27.1%
152回
2019年6月
55,702 41,995 10,666 25.4%
151回
2019年2月
66,729 49,776 6,297 12.7%
150回
2018年11月
64,838 49,516 7,276 14.7%
149回
2018年6月
52,694 38,352 5,964 15.6%

過去10回分の合格率は19.4%でした。

注目すべきはこの2つ

  • 平均の合格率
  • 大きな変化のあった回に注目

「簿記2級になにが起きているのか」
要点をしぼって解説します。

平均合格率は約20%

簿記2級は、合格率の変動がややある資格です。
ここ3年(10回分)の動きを見てみると、平均合格率は約20%になります。

昔は、30%で推移していた時期もありますが、それは2015年までの話です。
簿記の記事が書かれたサイトの中には、いつまでも古い考え方で書かれたものもあります。
そのような古い情報には惑わされないようにしてくださいね。

大きな変化のあった回に注目!

158回:まさかの試験時間短縮!

158回(2021年6月)から試験時間が「120分→90分」に変更されました。

試験時間の短縮による合格率の影響はなさそうです。
むしろ、過去2回よりも高い合格率になりました。

157回:なぜ合格率が急落したのか

157回(2021年2月)の合格率は8.6%という、過去まれにみる低さで、業界に激震が起こりました。

原因は商業簿記にありました。

第2問「リース取引」の問題は、過去でも例を見ないくらい、やらなければいけないことが多かった。
第3問「製造業の決算処理」の問題は、それほど難しくなかったものの、めったに出ない範囲が出題された。

合格率急落の反響が大きかったためか、次の試験では「8.6%→24.0%」に合格率が改善されました。

簿記2級の難易度はどれくらい?

簿記2級の難易度を知るのに、合格率以外も見てみましょう。

簿記2級の合格基準は70点

商業簿記60点、工業簿記40点で配点が分かれていて、100点満点のうち70点以上が合格です。
試験時間は90分で、商業・工業のどちらも同じ時間内で解くことになります。

採点方式は、「絶対評価」で合否が決まります。
合格基準点が70点と決められているので、試験の難易度で合格率が左右されます。
極端な話、受験者全員が70点以上なら全員合格というのが絶対評価です。

1級を目指す方にプチ情報

簿記2級と3級は同じ絶対評価ですが、1級だけは違います。
1級は「相対評価」を採用していて、試験の合格点は試験後に決定されます。
つまり、上位にいる数%だけが合格になるように調整される、受験者全員がライバルになる試験です。
難関試験によくある合否判定なので、1級を目指す方は覚えておきましょう。

簿記2級の勉強時間

標準学習目安 200~250時間 3~6か月

この勉強時間を見て「いけそう!」or「長い…」どのように思われましたか?
目安なので、効率よく勉強できればもっと早く合格できます。

200時間は意外と短い

私の体験談

200時間というのは、意外と長く感じないものです。
合格したときは、6カ月間で200時間でした。
序盤はゆっくり講義を受けながら、月30時間程度。
残り1か月、あせりつつ50時間勉強して、なんとか間に合わせました。

200時間が長く感じなかった理由は、講義を受けている時間が含まれているからです。
受け身になってジッと講義を見ているだけなので、インプットの学習で苦労はしませんでした。

ただ、私のように月30時間だと、後半あわてることになります。
ストレスかけないためにも、計画的な勉強をおすすめします。

≫ 簿記3級・2級に合格した55人の勉強時間を集計!短縮方法は?

簿記2級はどんどん難しくなる?

「現在の水準から大きく変わることはない」というのが、おおかたの意見です。

理由は2つ

  • 簿記1級の存在がある
  • 合格率の回復がみられる

一つ上の階級には、「大企業経理ができる」簿記1級が存在します。
レベル分けができているので、簿記2級をムリに難しくする必要がないわけです。

もう一つの理由は、合格率に(調整のような)回復が見られることです。
合格率が大きく下がった次の試験では、大幅に回復しています。
合格率が高くなった試験の感想を集めると、「前回に比べて簡単だった」という意見が多く寄せられます。
もし試験を難しくする傾向なら、このような光景は見られないはずです。

合格率の安定はあまりないものの、平均20%程度で推移しています。
今後もこの水準は継続されるものと見てよさそうです。

「簿記1.5級」なんて呼ばれ方をされる

近年の簿記2級の難易度を揶揄して、「簿記1.5級」という面白い表現がされています。
理由は、今まで簿記1級で扱っていた内容が2級に移ったことで、2級の範囲が広がっているからです。
この影響で難易度も昔よりはやや上がっています。

ですが、悪いことばかりではありません。
それくらい2級の価値が高まったからです。
今まで1級を取ろうか迷っていた人にとっては、2級で満足できる資格になりました。

簿記2級の学習方法

簿記2級の合格に向けて、学習ステップと攻略法を用意しました。
簿記2級になると、独学される方はほぼいないので、通学や通信講座を受ける前提で解説を進めます。

ちなみに、簿記3級を合格していなくても2級に進めます。
持っていてほしい実力は、簿記3級の仕訳が70%できること。そのくらい理解できていれば大丈夫です。

学習ステップ

学習ステップを4つに分けました。
順番に進めていくことで、メキメキ実力がつきます。

step
1
基礎を学ぶ

使う教材

  • 基本テキスト
  • 基本問題集
  • 基礎講義(動画もOK)

基本的に受講している講座で基礎を学んでもらえればOKです。

大事なのは、基本問題集も使いつつ進めることです。
1つの講義が終わるごとに問題集で復習することで、基礎がしっかり身につきます。

逆に基本問題集をサボってしまうと、最悪のケースでは講義についていけなくなってしまいます。
動画を使った通信講座なら過去の講義に戻ることができますが、通学の場合は学習に遅れると大変です。

予習は必要ありません。大事なのは復習です。
講義が終わるごとに、問題集で基礎を身につけるのがポイントです。

step
2
基礎をかためる

使う教材

  • 基礎問題集

ステップ①でも使った基礎問題集の2周目をスタートさせます。
なぜかというと、基礎講義で1周やっただけでは理解しきれていないからです。
ほとんどの場合、講義がすべて終わった頃には、最初にやっていた内容を忘れています。

ただし基礎が理解できていて、応用問題が解けるようになっていれば、2周目はやらなくて大丈夫です。
次のステップに進みましょう。

step
3
実力アップ

使う教材

  • 予想問題集
  • 直前対策問題

受講されている講座の問題集があるはずです。それを進めてもらえればOKです。
ただし、ここで一つアドバイスがあります。
私が推奨するのは、「基本」が終わったら「本試験クラス」の問題レベルに進むことです。

簿記2級の問題レベルは、ざっくり3段階あります。

レベル1 基本←ステップ①②
レベル2 応用
レベル3 本試験クラス←ココ

レベル2「応用」を飛ばすことで、勉強時間の短縮ができます。
具体的には、市販の予想問題集を使ってみるのがおすすめです。
本試験を想定して作られているので、とても良い問題レベルになっています。
予想問題集は、1冊4回分収録されているものがほとんどです。
最低2冊(計8回分)は終わらせたいところです。

「応用レベルはやらなくて大丈夫?」
基礎がしっかり身についていれば、なんの問題もありません。
実際に解いてみると、難しくてわからないところもでてきます。
わからないところは、解説を読んで理解することで、実力が飛躍的にアップします。

応用問題集は不要です

私の体験談

受講料の高い通学タイプによくあるのが応用問題集です。
実際に私は、使わずに一発合格できました。

応用問題集のデメリットは、時間がかかってしまうわりに本試験レベルの実力はつかないことです。
残念ながら教材代が高くなるだけで不要です。

基礎を身につけたら、素早く本試験レベルの問題に進むことをおすすめします。

step
4
総仕上げ

使う教材

  • 模試
  • 過去問題集

ステップ④は、合格に向けての最終フェーズです。
自分の実力を知りつつ、応用力を身につけます。

やることはステップ③でやった、問題をガンガン解くこととあまり変わりません。
違うのは、模試や過去問題集といった実力を計る問題になっていることです。

模試は通学講座でも、通信講座でも単品で申込できます。
全国的な模試なので、ライバルと自分の実力差がハッキリとわかります。
各社本気で予想した本試験対策の問題なので、余裕があれば受けてみてください。

過去問題集ですが、最近の2級はあまり重視されていません。
しかし、本試験特有の問題の言い回しや解き方も存在します。
過去2回分やっておけば問題ありません。

最終的に、予想問題集や直前対策問題をグルグル回すだけで合格レベルに到達します。

商業簿記と工業簿記の攻略法

簿記2級は「商業簿記60点・工業簿記40点」配点が分かれています。
攻略方法にそれぞれ特徴があります。

商業簿記の攻略

配点が60点と高いので、商業簿記を中心に学習を進めることになります。
商業簿記は範囲が広いので、まんべんなく解けるようにしておくのが大切です。

具体的には、講座が用意してくれる直前対策問題をできるようにしておくことです。
たくさん問題を用意してくるので、試験範囲のどれかは当たります。笑

商業簿記で意識することは、「内容をちゃんと理解しようとすること」です。
なんとなくで解いてしまうと、応用問題で対応できなくなってしまいます。
工業簿記とは感覚が違うので、意外と大事なことです。

工業簿記攻略

配点が40点なので、商業簿記よりは力を入れなくても大丈夫です。
ただし、合格点は70点以上なので、工業簿記もある程度できないといけません。

ここだけの話、テクニックで意外と得点できてしまうのが工業簿記です。
そのテクニックは、通学・通信どちらの講座でも教えてもらえます。

工業簿記は、商業簿記のような想像しやすさがなく、やっていることも原価計算がほとんどで地味です。
それゆえ、昔は嫌われていました。

そんな工業簿記ですが、5年前と違ってファンが急増しています。
理由は、出題傾向が安定していて、商業簿記のように難易度にムラがないからです。
得点源としてカギになっているので、ぜひ工業簿記を好きになってください。

どちらに力を入れるべき?

平均的に力を付けたあと「好きな方を伸ばす」のが合格のコツです。
多くの方は、商業簿記を得意とします。
配点が高いことと、商業取引の方が身近なのでわかりやすいからです。

商業簿記に力を入れるなら、精算表のようなボリュームある問題は、全問正解できるくらいになっておくとラクに合格できます。

「さすがにそのレベルに到達するのは難しそう…」
ということなら、どちらか一方に苦手意識を作らないようにだけ、気をつけてください。

簿記2級のアドバイス

過去問題集は必要?

回答:余裕があれば、過去2回分はやったほうが良い

なぜかというと、試験特有の出題傾向や解き方があるからです。
私は過去の試験で、商業簿記の精算表が出題されたときに、同じ解き方をする問題に当たったことがあります。
過去問のおかげで、精算表は満点を取れた経験があるからです。

なぜ過去問すべてではなく、2回分なのかというと。
日本商工会議所の公式ページで、過去問の重要度が低くなる案内がされました。

試験対策(例えば、過去問だけに頼った学習など)にとどまらない真の簿記学習を奨励します。したがって試験範囲すべての理解度を問うことにし、出題範囲から標準的な問題をランダムに出題しています。

2021年度からの新たな日商簿記検定試験のコンセプトなどについて

まだ変わったばかりなので、過去問の優先順位がどれほど下がるのか、詳しいことは誰にもわかりません。
そのため、過去問すべて解く必要はなく、2回分くらいで十分というのが結論です。

簿記2級は独学できる?

簿記2級はよほどのことがないかぎり、資格スクールをおすすめしています。

理由は、簿記という「会計のしくみ」は単純な暗記ではないからです。
ビジネス系の中でも専門性がある資格で、独学では理解しにくい内容になっています。

経理をしている私でも、今まで簿記2級を独学した人に会ったことはありません。
それくらい簿記2級の独学する人は珍しいものです。

ですが、100%独学が不可能ではありません。
稀に難関資格でも合格してしまうような天才肌の人がいるからです。
自信がある人以外は、講座での学習をおすすめします。

簿記2級は誰でも合格できる

最近の合格率を見てしまうと、難易度の高い試験だと思われてしまうかもしれません。
ですが、平均合格率20%付近なら誰でも合格できる資格です。

なぜならば、勉強期間が3~6か月ほどの勉強量で、わりと短めだからです。
資格スクールの学習期間でも、長くても6か月です。
そして毎年10万人という多くの人が合格しています。

勉強の理解度は個人差があるものですが、簿記2級くらいであれば、学力・記憶力の差は簡単にうめられます。

合格するためにやることは2つ

①講座を最後までやりきること

②理解するまで教材を反復すること

これさえできれば、誰でも合格可能です。

なぜ合格率がよく変動するのか

簿記2級は、他の資格と比べて合格率の変動が大きい資格です。
その原因は、改正や変更がわりと頻繁だからです。

受験者にとっては、あまり良くないことかもしれません。
ですが、合格した経験者からすると悪いことではありません。

簿記が改正や変更が多いのは、資格の価値や権威性を保っているからです。
つまり、せっかく取った資格が、将来的に価値のないものになってしまったら悲しいですよね?
そうならないように、日本商工会議所は常にビジネスの場で使える資格を意識しています。
その影響で合格率の変動が起きてしまうのです。

合格率の変動は激しいですが、低い回の次の試験はたいてい高くなります。
もし落ちてしまった場合でも、合格するまで諦めずに挑戦してみてください。

まとめ:合格するには運も必要

今回は、合格率と難易度が中心のテーマでした。

今回のまとめ

  • 簿記2級の合格率は約20%
  • 合格基準点は70点
  • 合格率が高い回もある!

合格するには運も必要です

試験回によって合格率にバラつきがあります。
実力をつけても難しい回に当たってしまうと、落ちてしまうことがあります。
そんなときは、「運が悪かった」と気持ちを切り替えて次に備えることです。

簿記2級は、1度で受かる人もいれば、2回・3回で受かる人も多くいます
合格さえしてしまえば、挑戦した回数に意味はありません。
気持ちに余裕をもって挑戦してほしいと思います。

合格しやすくなる回は必ずきます。
その回がくるまでに、確実に実力をつけておきましょう。



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