この記事で解決できる悩み
- 簿記とFASSの違いがわかる
- どちらを取ればいいかがわかる
経理に関する資格は大小あわせて10以上あります。
その中でもメジャーなのは【簿記】ですが、最近勢いがあるのが【FASS】です。
この違いを比較しました。
この記事は、今のあなたにどちらが必要かがわかります。
効率よく自分の価値を高めましょう!
経理歴10年で日商簿記1級を取得しています。
採用にもかかわっている私が解説をします。
日商簿記とFASSの説明
まずはじめに、日商簿記とFASSがどのようなものか知っていますか?
「ちょっとあいまい・・・」という方のために、まずは基本的な内容を説明します。
「もうすでに知っているよ」という方は、読み飛ばしてもらってOKです。
日商簿記とは
正式名称:日本商工会議所簿記検定
日商簿記は、日本商工会議所が1954年に実施した歴史ある検定試験です。
日々の取引を記録して、企業の成績・財政状態を明らかにするスキルです。
簿記は階級ごとに分かれていて、合格・不合格で判定されます。
どんな場面で役立つ?
- 経理・財務の仕事につく
- 公認会計士や税理士などを目指す
- 他の資格と組み合わせてキャリアアップ
- 大学や短大の推薦入試、単位の認定
年間で約60万人が受験する社会的に高い信頼と評価があるのが日商簿記です。
簿記の欠点
簿記に合格しただけでは、即戦力としてやや弱いところです。
簿記は現場経験をあわせることで、やっと本当の力を発揮します。
日商簿記1級に合格したときに私が思ったことは
「今、経理の現場に放り出されたら何もできないぞ?」
ということでした。
どの資格でも似たような思いをかかえるものですが、資格と現場経験には差があるものです。
そこで実務レベルに目を向けたのがFASSの存在です。
FASSとは
FASS(ファス):Finance & Accounting Skill Standard の略。
日本語訳→財務・会計のスキル基準
FASSは、経済産業省が日本CFO協会に委託して、2005年に誕生したまだ新しい検定試験です。
経理・財務の知識を学ぶ簿記に対し、FASSは実務スキルをチェックするための検定です。
合格・不合格というものはなく、実務スキルをスコアとランク(A~E)で判定します。
簡単にいえば、どれくらい戦力になれるかを示すための検定です。
FASSが役立つシーン
- 実務の欠点をみつける
- 人材採用でのアピール
簿記ほどではありませんが、FASSを活用する企業も少しずつ増えてきています。
どうやってできたの?
FASSは、経済産業省が日本CFO協会に開発を委託。
トヨタ、ホンダ、パナソニックなど、約60社の経理・財務部長が集まって作られました。

私の意見
ユン
FASSは「やや大企業向け」な印象です。
大企業ならではの会計の仕組みを採用していたり、中小企業では使わない考え方、言葉が多いことが理由です。
ただ、中小企業に役立つ範囲はあります。
大企業ほどではありませんが、すべてがムダなわけではありません。
日商簿記とFASSの大きな違い3つ
日商簿記とFASSには明確な違いがあります。
①学習内容
②役立つシーン
③評価方法
この3つを見比べていきます。

違い① 学習内容
日商簿記
商品が1個あたりいくらで作られたものかを計算したり、会社の成績表が作れるようになります。
つまり、会社の経理事務に必要な会計知識が身につけられるのが簿記です。
FASS
4分野【資産、決算、税務、資金】
これらの仕事の流れを学ぶのばFASSです。
実務中心なので、簿記よりも範囲が広いのが特徴です。
学習内容のまとめ
日商簿記⇒計算の方法、業績の作り方をマスターすること
FASS⇒実務の考え方、仕事の流れをマスターすること
違い② 役立つシーン
簿記とFASSでは、役立つシーンが大きく違います。
日商簿記
簿記は経理をやりたい人以外からも人気のある資格です。
- 経済を学ぼうとする人
- 会計士、税理士を目指す人
- 経営者として数字に強くなりたい人
簿記は会計の知識でありながら、いろんな場面で役立てられる便利な資格です。
FASS
FASSは経理・財務の仕事をする人のためのスキルです。
現場で仕事をする人にかぎられるので、対象者が少ない検定です。
ポイント
日商簿記⇒経済知識としても広く使える
FASS⇒実務スキルなので対象者が少ない
違い③ 評価方法
【評価方法の違い】
日商簿記は5階級の合否判定。
FASSはスコアとランク(A~E)で判定がされます。
評価方法は英語で例えると、簿記は英検。
FASSはTOEICに似ています。
単純に簿記を持っていても、FASSの能力は計れるものではありません。
知識と実務レベルは別物だからです。
企業が求めるレベル
日商簿記2級⇒企業で働くのに十分な知識が身についている
FASSのCランク⇒日常の業務の基本スキルが身についている
このレベルが企業から評価される目安になっています。
簿記とFASSはどちらを取るべき?
結論を先に言ってしまうと、優先すべきなのは簿記です。
なぜなら、簿記を知らないとFASS(実務)どころではないからです。
ですが、人によってはFASSを優先させた方がいい人もいます。
その理由を説明します。
今必要な方を取る
今あなたがおかれている状況でどちらを優先すべきかが変わってきます。
日商簿記
- 経理の仕事を広く探している
- 経理はしないが金融知識の向上につなげたい
FASS
- 転職で即戦力をアピールしたい
- 社内評価アップにFASSが使われている
基本的には簿記が優先。
実務スキルをアピールしたいならFASSが優先。
ということになります。
両方取る場合の効率的な手順
- 簿記をとる
- 仕事につく
- FASSを受ける
この流れがスムーズです。
経理・財務の仕事をするには簿記がないと、ほぼやらせてもらえません。
そのため簿記が一番最初です。
FASSのスコアを効率的に上げるなら、実務につくことです。
もちろん仕事をする前にFASSを受けることもできます。
その場合、実務が想像しにくいので難しく感じてしまうのは覚悟しておきましょう。
ポイントを整理
簿記→実務→FASS
が王道ルートですが、必要に応じて受けるのが良さそうです。
FASSの弱点は求人数が少ないこと
実際の経理で、どちらが多く求められているのか気になりませんか?
将来、経理の仕事をしたい人は必見です。
さっそく求人の検索結果を見てみましょう!
検索条件
マイナビ転職
職種:経理・財務
2021年8月14日時点
求人数 576件中
- 「簿記」で検索 330件
- 「FASS」で検索 1件

経理を目指す人にとって、簿記を優先した方が有利であることがわかりました。
この結果に対して、現場で働く私が思ったことは

FASSを求める求人が少ない理由
- 知名度が低いこと
- 簿記で十分であること
FASSは2005年に誕生したので歴史が浅めです。
経理のベテランでも「FASSってなに?」ってなってしまうほど。
知名度がまだまだ低すぎます。
簿記は長らく使われてきた歴史があります。
何級を持っていて、経理経験を聞けば現場レベルが判断できてしまいます。
ほとんどの採用現場では、簿記だけで十分だということです。
FASSは転職において、実力のアピールには使えそうですが、入社の条件としては求められていない結果となりました。
結論:よほどのことがないかぎり簿記が優先
結論のまとめ
- 優先して取るのは簿記
- FASSは必要になったときに受ける
- FASSは実務経験したあとの方が効率的
簿記とFASSどっちを取るべきなの?
と、悩む検定ではないということがわかりましたね!
簿記を最初にとって、FASSは必要に応じて取るのが良いでしょう。
最後におすすめの勉強方法をそれぞれ解説します。
おすすめの勉強方法
FASS
FASSは日本CFO協会の研修を受けることができます。
研修を提供しているのは、試験を主催している日本CFO協会です。
ガイドブックでの問題演習や、講義もあります。
料金は、法人の会員と個人で分かれています。
個人で受ける場合は、研修+試験料で25,000円ほどみておくと良さそうです。
詳しくは公式HPでご確認ください。
日商簿記
簿記を取るなら通学か通信講座が効率的です。
独学する人もたまにいますが、やや専門的すぎるのでおすすめできません。
イチオシは通信講座です。
大手の通学より半額以下の料金で、合格がしっかり狙えます。
料金の目安は初学者から始めるなら
日商簿記3級 約 4千円~
日商簿記2級 約 2万円~
このくらいです。
通信講座を比較したい方はこちらをご覧ください。
この記事を書いた人
ユン